本ブログでたびたび話題にしてきたPDFの帳票出力に関して「JSP帳票アプリケーション実践開発入門」という本にまとめ、ラトルズから上梓しました。初版は2,000部と少なめですので、ご興味のある方は早めにご注文ください。書店に並ぶのは11/16頃とのことです。

「はじめに」のページをここに転載します。

多くの業務アプリケーションがWebシステム上で開発されるようになりました。Webシステムではサーバ側でほとんどの処理を行うため、システムの管理やバージョンアップ、アウトソーシングが簡単に行えるというメリットがあります。しかし、帳票の印刷については手軽に使える選択肢がそれほど多くありません。前著『JSP業務アプリケーション短期開発入門』では、HTMLとCSSを使って帳票をレイアウトする簡易的な方法を紹介しましたが、用紙の余白やヘッダー、フッターの設定などはブラウザの機能に依存してしまいます。そこで、PDFデータを生成するためのライブラリであるiTextを利用して帳票を出力する方法を考えることにしました。
iTextは Bruno Lowagie氏が開発し、オープンソースで提供されているJavaのライブラリです。非常に多くの機能を持つ柔軟なライブラリですが、帳票に特化したものではないため、テーブル１つをレイアウトするにも数々のAPIを組み合わせて使用する必要があります。本書ではiTextのAPIを簡単に呼び出せるように、著者が作成した中間ライブラリであるPdfBuilderを利用します。このライブラリでは、<table>、<tr>、<td>といったHTMLでおなじみのタグを使って帳票のテンプレートを作成することができます。また、既存のPDFや画像のデータを読み込んで、その上に文字を重ねて印刷することもできます。一部制限はありますが、縦書きにも対応します。
本書の第１章では、開発環境の設定方法について説明します。ユーザの多いWindowsを対象にしていますが、本書で作成するプログラムはJava、MySQLおよびTomcatがインストールされていれば、Mac OSやLinuxなど、他のOSでも動作します。第2章では編集画面を構成するためのユーザインターフェイスやデータベースの設定など、帳票アプリケーションの構築に必要となる基本的な技術について説明します。第3章〜第5章では、テーブルの構成や文字のレイアウト、フォントの設定など、テンプレートを利用した帳票のレイアウト方法について説明します。第6章では、実際に業務アプリケーションのサイトを作成し、ログイン処理、ユーザ権限の管理、住所録と宛名印刷、経費申請書、見積書・請求書・領収書の発行などについて説明します。
筆者が作成したPdfBuilderにはなお改善・発展の余地があると思います。ご意見、ご質問、ご感想などをメールまたはWebサイトの掲示板にお寄せいただければうれしく思います。