2007年06月22日(金) 高知新聞夕刊 体験!サマースクール
大月発くろしお便り(黒潮実感センター)
体験!サマースクール

底が透明なクリアカヌー。子供でも操作は簡単だ
クリアカヌー
七月からは子ども達が楽しみにしているサマースクールが始まる。澄み切った柏島の海をフィールドに、海の楽しさや海の生き物に関心を持ってもらえるよう様々なメニューを用意している。今回はその一つ、クリアカヌーを使った体験実感学習を紹介しよう。
平均透明度20mの柏島の海でもっとも効果を発揮するのがクリアカヌーである。クリアカヌーは、底が透明になっているため、水中に入らなくても、海中のサンゴや魚の観察を気軽に楽しむことができ、喫水が浅いので、水深数10pの浅場にも入っていくことができる。操作も簡単で、子どもでも数十分の練習で上手に漕ぐことができる。海面に浮かび、海中と陸上、それに空の景色を同時に楽しめる。

海面まで伸びたホンダワラの仲間フタエモク 海のゆりかご
春になると柏島ではテングサやフノリを始め、様々な海藻が生えてくる。五―七月になるとホンダワラ類の一種でイソモクやフタエモクという大型海藻が繁茂し藻場を形成する。ホンダワラの仲間は体に気泡を持ち、これが浮きの役割を果たして海中で直立して成長する。海藻の種類によっては陸上植物のように根・茎・葉に分かれているように見えるものもあるが、根のようなものには海底から養分を吸収する機能はなく、たんに体を固定するためのものである。ホンダワラの仲間が波などでちぎれ、沖合に漂っているものを流れ藻というが、海底から離れていても枯れることはない。流れ藻の下にはブリの稚魚であるモジャコやイシダイ、シイラなどいろんな魚の稚魚が暮らしている。
アオリイカの卵が産み付けられ、小魚が群れるイソモクの藻場
藻場は様々な魚の稚魚の保育場として、またアオリイカなどの産卵場所にもなる海のゆりかごである。

いろんな海藻で作るユニークな作品 海藻押し葉づくり
イソモクやテングサなどの海藻の役割を勉強したあとは、もっと海藻について興味を持ってもらおうと「海藻押し葉」づくりを行っている。岸壁やロープ類に付着した海藻や、漁師さんからいただいたテングサなどを使って、本のしおりやハガキを作る。色とりどりで形も多様な海藻をじっくり見ることはこれまでほとんど無かった子ども達だが、いざ作り出すと夢中になる。できあがった作品には子ども達それぞれのユニークな個性が見られてとっても楽しい。

薪をくべながらテングサを煮る昔ながらのところてんづくり ところてんづくり
魚や貝の住みかや餌となる海藻の役割を勉強したあとは、柏島名物のところてんづくりに挑戦だ。今でも昔ながらの薪でテングサを炊いてところてんを作っている、島本きみさんに教えてもらいながら作る。磯のにおいがする赤いテングサから、半透明のところてんになるまでの過程を体験し、できあがったところてんを食べる。「このところてんって磯臭くなくてめっちゃおいしい!」とお汁の一滴まで飲み干す子ども達のうれしそうな笑顔が印象的だ。
「柏島名物ところてん」の幟が出るといよいよ夏本番である。
さらしたテングサとおいしそうなところてん
柏島海中散歩
「泳ぎが苦手な海の箱!」
シマウミスズメ(体長15cm)
ハコフグの仲間で、体は固い甲板で囲まれているため、動かすことができるのは各ヒレだけで、泳ぐのは苦手のようである。愛嬌のある表情と動きでダイバーにも人気がある。
20070622photo7
ハコフグは体の断面が四角だが、この魚は五角形をしている。日本にはハコフグの仲間が何種類かいるが、ハマフグは三角形、イトマキフグは六角形とそれぞれ違うのがおもしろい。体の肉に毒は無いが、興奮すると皮膚からパフトキシンという粘液毒をだす。採集してバケツの中に入れると、この毒で他の魚が死んでしまうのでご注意を。
(センター長・神田 優)
体験!サマースクール

底が透明なクリアカヌー。子供でも操作は簡単だ
クリアカヌー
七月からは子ども達が楽しみにしているサマースクールが始まる。澄み切った柏島の海をフィールドに、海の楽しさや海の生き物に関心を持ってもらえるよう様々なメニューを用意している。今回はその一つ、クリアカヌーを使った体験実感学習を紹介しよう。
平均透明度20mの柏島の海でもっとも効果を発揮するのがクリアカヌーである。クリアカヌーは、底が透明になっているため、水中に入らなくても、海中のサンゴや魚の観察を気軽に楽しむことができ、喫水が浅いので、水深数10pの浅場にも入っていくことができる。操作も簡単で、子どもでも数十分の練習で上手に漕ぐことができる。海面に浮かび、海中と陸上、それに空の景色を同時に楽しめる。

海面まで伸びたホンダワラの仲間フタエモク
春になると柏島ではテングサやフノリを始め、様々な海藻が生えてくる。五―七月になるとホンダワラ類の一種でイソモクやフタエモクという大型海藻が繁茂し藻場を形成する。ホンダワラの仲間は体に気泡を持ち、これが浮きの役割を果たして海中で直立して成長する。海藻の種類によっては陸上植物のように根・茎・葉に分かれているように見えるものもあるが、根のようなものには海底から養分を吸収する機能はなく、たんに体を固定するためのものである。ホンダワラの仲間が波などでちぎれ、沖合に漂っているものを流れ藻というが、海底から離れていても枯れることはない。流れ藻の下にはブリの稚魚であるモジャコやイシダイ、シイラなどいろんな魚の稚魚が暮らしている。

アオリイカの卵が産み付けられ、小魚が群れるイソモクの藻場
藻場は様々な魚の稚魚の保育場として、またアオリイカなどの産卵場所にもなる海のゆりかごである。

いろんな海藻で作るユニークな作品
イソモクやテングサなどの海藻の役割を勉強したあとは、もっと海藻について興味を持ってもらおうと「海藻押し葉」づくりを行っている。岸壁やロープ類に付着した海藻や、漁師さんからいただいたテングサなどを使って、本のしおりやハガキを作る。色とりどりで形も多様な海藻をじっくり見ることはこれまでほとんど無かった子ども達だが、いざ作り出すと夢中になる。できあがった作品には子ども達それぞれのユニークな個性が見られてとっても楽しい。

薪をくべながらテングサを煮る昔ながらのところてんづくり
魚や貝の住みかや餌となる海藻の役割を勉強したあとは、柏島名物のところてんづくりに挑戦だ。今でも昔ながらの薪でテングサを炊いてところてんを作っている、島本きみさんに教えてもらいながら作る。磯のにおいがする赤いテングサから、半透明のところてんになるまでの過程を体験し、できあがったところてんを食べる。「このところてんって磯臭くなくてめっちゃおいしい!」とお汁の一滴まで飲み干す子ども達のうれしそうな笑顔が印象的だ。
「柏島名物ところてん」の幟が出るといよいよ夏本番である。

さらしたテングサとおいしそうなところてん
柏島海中散歩
「泳ぎが苦手な海の箱!」
シマウミスズメ(体長15cm)
ハコフグの仲間で、体は固い甲板で囲まれているため、動かすことができるのは各ヒレだけで、泳ぐのは苦手のようである。愛嬌のある表情と動きでダイバーにも人気がある。

20070622photo7
ハコフグは体の断面が四角だが、この魚は五角形をしている。日本にはハコフグの仲間が何種類かいるが、ハマフグは三角形、イトマキフグは六角形とそれぞれ違うのがおもしろい。体の肉に毒は無いが、興奮すると皮膚からパフトキシンという粘液毒をだす。採集してバケツの中に入れると、この毒で他の魚が死んでしまうのでご注意を。
(センター長・神田 優)
更新:
諒太
/2009年 01月 06日 17時 01分