2012年7月7日(土)高知新聞朝刊 「黒潮実感大賞」を創設
大月発 くろしお便り

潮だまりでヒカリボヤを見つけ興味津々。『博士これなに〜?」生き物の質問をするときにはパパを博士と呼ぶ
3歳になる私の息子拓海は父親のDNAの影響が強かったせいか、1歳の頃より生きたアジやキビナゴを手づかみするほどの大の魚好きである。2歳になった頃には黒潮実感センターの実習船から海に飛び込む始末である。魚は見るだけでなく、食べるのも大好きで特に刺身には目がなく、鰤や鯛の刺身を20切れ以上も食べる。そんな我が子がまだ1歳になるかならないかの時、寝かしつけるのに妻が歌う子守歌は、私たち2人の合作による「どんぐりころころ」の替え歌だった。
お空の色したソラスズメ〜。
クロヤの子どもは木っ端グレ〜。
しましま模様のオヤビッチャ。
拓海と一緒に見に行こう〜。ゴー。
オレンジしましまクマノミちゃん。
黄色と黒はツノダシだ〜。
怒ると膨らむハリセンボン。
拓海と一緒に見に行こう〜。ゴー。
キラキラ群れてるキビナゴちゃん。
縦じま虹色ニシキベラ〜。
ゆらゆら揺れてるモイカちゃん〜。
パパがたくさん増やしてる〜。ルン!
ちなみにクロヤとは妻の実家島根県でのグレ、つまりメジナの地方名だ。ここに登場する魚たちは我が家の目の前の海(徒歩30歩)で普通に見える魚たちだ。息子はこれ以上ないほどの素晴らしい海に囲まれた環境でスクスクと成長中である。遊びの対象は自ずと海や海の生き物だ。身近にいる海の生き物とふれあうことで、彼らが何者でどんな性質を持っていて、どんなところに行けばいるのかを自分で調べようとする。磯の潮だまりが大好きで、石をひっくり返してはヤドカリやナマコ、カニを捕まえてくる。子どもの頃の自分とうり二つで全くうれしくなる。
そんな子ども達の知ろうとする力をもっともっと延ばしてやりたい。将来の研究者の卵を育むことができれば、これほどうれしいことはない。自分も幼稚の頃から生物学者になることを夢見て、最終的に魚類の研究者になった。

浮き桟橋には美しいソフトコーラルや海藻類、それにハリセンボンもいてにぎやか

磯の生き物観察。ナマコやカニ、ウニなど生き物がいっぱい

透明度の高い海でのシュノーケリング
今年も恒例の子ども、親子サマースクールを開催する。センター主催のサマースクールは、少人数を対象にシュノーケリングや釣り、夜の海の生き物観察など様々なアクティビティを組み合わせたプログラムを実施している。うれしいことにリピーターが多く、毎年早い時期から予約の電話をいただく。そんな中、今年はこれまでと少し趣向を変えたものも用意した。名付けて、夏休みこども科学研究「海好き集まれ!君も小さな研究者」。
「君も小さな研究者」のフレーズはお隣にある黒潮生物研究所のサマースクールとかぶってしまったが、ご容赦願いたい。このプログラムでは自分が調べたい海の生き物に関するテーマを持ち寄って、それを研究者である私や高知大の大学院生がお手伝いしようというものである。何を調べていいかわからないという子ども達にはこちらからいくつかのテーマを用意するので、それを選んでもらってもいい。3泊4日でじっくり満足いくまで研究してもらいたい。自分で言うのも何だが、自分が子どもの頃こんな教室があったら、ずっと入り浸っていただろうなぁと思う。

毎年参加してくれる一朗くんは貝を砕いた砂で作った作品を持ってきてくれた
「次世代にバトン」
今年、当センターはNPO法人化10周年を迎える(活動開始はさらに4年さかのぼるので、実質は14周年)。まだ詳細な日程は未定だが、秋以降に10周年記念のイベントを予定している。それにあわせ次代を担う子ども達に海洋生物への関心を高めてもらおうと顕彰制度を創設する。名付けて「黒潮実感大賞」。7月半ばまでには応募に関する情報をホームページにアップする予定だ。夏休みの自由研究や絵画など高知県の内外を問わず、多くの子ども達に応募してもらいたい。これがきっかけとなり、一人でも多くの子ども達が未来の研究者、あるいは日本の海の環境を守ってくれる人材として育ってほしい。
柏島は「人が海からの恵みを一方的に享受するだけでなく、人もまた海を耕し、はぐくみ、守る」、人と海とが共存する「里海」である。私たち黒潮実感センターは、この海の環境や海とともに歩んできた人々の暮らし、つまりここにある「風景」を残すことを使命として活動を続けている。そのバトンを次の世代の子どもに託したい。海の生き物への関心がその第一歩となることを願っている。
(センター長・神田 優)

潮だまりでヒカリボヤを見つけ興味津々。『博士これなに〜?」生き物の質問をするときにはパパを博士と呼ぶ
3歳になる私の息子拓海は父親のDNAの影響が強かったせいか、1歳の頃より生きたアジやキビナゴを手づかみするほどの大の魚好きである。2歳になった頃には黒潮実感センターの実習船から海に飛び込む始末である。魚は見るだけでなく、食べるのも大好きで特に刺身には目がなく、鰤や鯛の刺身を20切れ以上も食べる。そんな我が子がまだ1歳になるかならないかの時、寝かしつけるのに妻が歌う子守歌は、私たち2人の合作による「どんぐりころころ」の替え歌だった。
お空の色したソラスズメ〜。
クロヤの子どもは木っ端グレ〜。
しましま模様のオヤビッチャ。
拓海と一緒に見に行こう〜。ゴー。
オレンジしましまクマノミちゃん。
黄色と黒はツノダシだ〜。
怒ると膨らむハリセンボン。
拓海と一緒に見に行こう〜。ゴー。
キラキラ群れてるキビナゴちゃん。
縦じま虹色ニシキベラ〜。
ゆらゆら揺れてるモイカちゃん〜。
パパがたくさん増やしてる〜。ルン!
ちなみにクロヤとは妻の実家島根県でのグレ、つまりメジナの地方名だ。ここに登場する魚たちは我が家の目の前の海(徒歩30歩)で普通に見える魚たちだ。息子はこれ以上ないほどの素晴らしい海に囲まれた環境でスクスクと成長中である。遊びの対象は自ずと海や海の生き物だ。身近にいる海の生き物とふれあうことで、彼らが何者でどんな性質を持っていて、どんなところに行けばいるのかを自分で調べようとする。磯の潮だまりが大好きで、石をひっくり返してはヤドカリやナマコ、カニを捕まえてくる。子どもの頃の自分とうり二つで全くうれしくなる。
そんな子ども達の知ろうとする力をもっともっと延ばしてやりたい。将来の研究者の卵を育むことができれば、これほどうれしいことはない。自分も幼稚の頃から生物学者になることを夢見て、最終的に魚類の研究者になった。

浮き桟橋には美しいソフトコーラルや海藻類、それにハリセンボンもいてにぎやか

磯の生き物観察。ナマコやカニ、ウニなど生き物がいっぱい

透明度の高い海でのシュノーケリング
今年も恒例の子ども、親子サマースクールを開催する。センター主催のサマースクールは、少人数を対象にシュノーケリングや釣り、夜の海の生き物観察など様々なアクティビティを組み合わせたプログラムを実施している。うれしいことにリピーターが多く、毎年早い時期から予約の電話をいただく。そんな中、今年はこれまでと少し趣向を変えたものも用意した。名付けて、夏休みこども科学研究「海好き集まれ!君も小さな研究者」。
「君も小さな研究者」のフレーズはお隣にある黒潮生物研究所のサマースクールとかぶってしまったが、ご容赦願いたい。このプログラムでは自分が調べたい海の生き物に関するテーマを持ち寄って、それを研究者である私や高知大の大学院生がお手伝いしようというものである。何を調べていいかわからないという子ども達にはこちらからいくつかのテーマを用意するので、それを選んでもらってもいい。3泊4日でじっくり満足いくまで研究してもらいたい。自分で言うのも何だが、自分が子どもの頃こんな教室があったら、ずっと入り浸っていただろうなぁと思う。

毎年参加してくれる一朗くんは貝を砕いた砂で作った作品を持ってきてくれた
「次世代にバトン」
今年、当センターはNPO法人化10周年を迎える(活動開始はさらに4年さかのぼるので、実質は14周年)。まだ詳細な日程は未定だが、秋以降に10周年記念のイベントを予定している。それにあわせ次代を担う子ども達に海洋生物への関心を高めてもらおうと顕彰制度を創設する。名付けて「黒潮実感大賞」。7月半ばまでには応募に関する情報をホームページにアップする予定だ。夏休みの自由研究や絵画など高知県の内外を問わず、多くの子ども達に応募してもらいたい。これがきっかけとなり、一人でも多くの子ども達が未来の研究者、あるいは日本の海の環境を守ってくれる人材として育ってほしい。
柏島は「人が海からの恵みを一方的に享受するだけでなく、人もまた海を耕し、はぐくみ、守る」、人と海とが共存する「里海」である。私たち黒潮実感センターは、この海の環境や海とともに歩んできた人々の暮らし、つまりここにある「風景」を残すことを使命として活動を続けている。そのバトンを次の世代の子どもに託したい。海の生き物への関心がその第一歩となることを願っている。
(センター長・神田 優)
投稿:
Kanda
/2012年 07月 30日 02時 41分