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2008年11月28日(金) 高知新聞夕刊 豪快!ブリの一本釣り
大月発くろしお便り(黒潮実感センター)

             豪快!ブリの一本釣り
釣り上げられたブリ(写真はいずれも大月町柏島)
釣り上げられたブリ(写真はいずれも大月町柏島)
   
             飼い付け漁
「ウーーー、ウーーー…」。
昼過ぎに組合のサイレンが二回続けて鳴った。
 十月一日、今日は柏島沖での天然ブリの飼い付け漁の解禁日だ。回遊魚であるブリは通常大敷網と呼ばれる定置網で獲られることが多いが、ここ柏島では一本釣りで漁獲する。
 柏島で「まきえ」と呼ばれる買い付け漁とは、ある海域で一定期間漁業をする権利を買い取り行うもので、その海域では買い取った業者以外漁はできない。毎日決まった場所と時間に、イワシやサンマなどを潰してミンチ状にしたものをコマセとして撒く。船から直接撒くこともあるが、潮の流れによっては「ばくだん」(沖の島での呼び方)と呼ばれる袋に詰め込み、魚がいる付近に撒く。餌を撒くことで天然ブリの回遊経路を作り、ブリを集め船から一匹ずつ手釣りで釣る。網で獲る漁よりは効率は悪いが魚に傷を付けることが少ないので高値で取引される。
釣ったブリの水揚げ
釣ったブリの水揚げ


              指に食い込むヤマ
 十月の釣り始めの頃、五`どだったブリは、日に日にまるまると肥えていき、年末頃には十`にもなる。ブリが喰う度に指にヤマ(釣り糸)が食い込んで、大漁の時には一日で分厚い漁業用のゴム手袋が破れるという。堅く節くれ立った漁師の指でさえすり切れ、毎日絆創膏が巻かれている。腕の筋肉も悲鳴を上げ、毎晩湿布を貼るという漁師もいる。まさに人対ブリの格闘だ。
かごに入れられ軽量を待つ
かごに入れられ軽量を待つ


             「ぶに」を提げて
 獲ってきた魚は乗組員におかずとして分配する。これを柏島では「ぶに」と呼ぶ。大漁の時にはブリ一本。少ないときには片身や四半身と言ったように公平に分ける。夕方、乗組員は自転車の篭や手に「ぶに」を提げて帰ってくる。私も度々そのお相伴にあずかる。
計量後水氷に入れられる
計量後水氷に入れられる


             イワシやイルカと
 ブリは通常イワシなどの生き餌を追って移動する。イワシが豊漁の時には生きた餌を優先し、撒き餌に付かないので漁がなくなる。イワシが多い時でもイルカがそのイワシを追ってくると、漁があったりもする。イワシ、ブリ、イルカ、ヒト。それぞれの関係性の上に成り立つのが撒き餌漁だ。その時々の状況を正確に把握し、撒き餌の量や撒き方を変える。過去数十年にわたってそのノウハウを培ってきたハヤブサ水産の前社長、橋本昇さんの話には、経験と実績に裏付けされた重みがある。それでも毎年の漁はわからないという。
漁が終わってほっと一息
漁が終わってほっと一息


             漁業者の苦悩
 一本釣りは群れを一網打尽にごっそり巻いて獲る巻き網とは違う。巻き網で獲れたブリが市場に大量に出回ると値が一気に下がるという。各市場の情報を常に把握しておくことも重要だ。
 餌や箱代、燃油代、輸送コストはどんどん上がっていくが、ブリの値段は上がらないばかりか、昔よりも下がっているという。魚の値段を漁師が決められないと言う今の仕組みに対する漁業者側の苦悩がそこにある。  
 お昼過ぎ、組合のサイレンが二回鳴りブリの水揚げが知らされると、島の人が次々集まってきてブリを一本二本と買い求めていく。
漁を終え明日の準備に向かう
漁を終え明日の準備に向かう

 冬になると決まって実家から電話で催促がある。私はこう答える。「今日は二本送るき」。

                  (センター長・神田優)

更新: 諒太 /2009年 01月 06日 17時 47分

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