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2009年10月23日(金) 高知新聞夕刊  どうする漂着ごみ
大月発 くろしお便り(黒潮実感センター)
漂着ごみの回収。陸地伝いに行けない所へは船で行き、リレー方式で船に運ぶ(写真はいずれも大月町柏島)
漂着ごみの回収。陸地伝いに行けない所へは船で行き、リレー方式で船に運ぶ(写真はいずれも大月町柏島)
 
                    どうする漂着ごみ
 秋になると柏島の海はますます透明度が高くなり、暖かい南の海から黒潮に運ばれてくる熱帯性の魚たちが増え、海の中は一年で最も賑やかになる。陸上でも春や夏に比べ空気も澄んで、遠く離れた九州がすぐ近くのように見える。
 そんな中、海の中とは対照的な風景が浜にはある。大量の漂着ごみだ。秋からは北西の季節風が吹き始め、島の北岸には豊後水道を漂流するごみが吹き集められる。特に竜の浜は北西に口を開いたような格好になっているためたまりやすい。
浜いっぱいに漂着したごみを拾う高知大生たち
浜いっぱいに漂着したごみを拾う高知大生たち

                     誰が処理する?
 柏島では年に一回、夏のレジャーシーズンを前に島民総出で浜掃除を行う。港や直接歩いていける浜は女の人やお年寄りがきれいに掃除し、陸上からアクセスしづらい竜の浜や白浜には男衆が伝馬船に分乗して上陸する。
 浜に上陸して最も目立つのが養殖生け簀を浮かべるために使う大きな発泡スチロールだ。漁具である浮きやロープ、網なども目に付く。次に流木などの大きな漂着物。これらは目立つので集めやすいが、問題はペットボトルやプラスティック製品、発砲スチロールが砕けてバラバラになった小さなくずたちだ。
 昔はビンや缶、流木などが多かったが、近年のごみの大半はプラスティック製品だ。これらは軽くて水に浮くので打ち上げられやすい。しかし、決して腐って分解されることはない。それが紫外線を浴び劣化し、波の力で細かく砕かれ、砂利や岩の間に埋まる。これを取り除くのは非常に困難だ。
これらのごみは島民が出したごみばかりではなく、日本各地、さらには遠く韓国や中国など外国から流れ着くモノもたくさんある。現在の法令上では「回収ごみは地方自治体が処理」となっているが、この様に越境するごみについては現行法のみでは対応しきれないのも現状だ。ごみが、海を渡り漂着した際に一体誰が処理するのか、法整備と同時に処理に要する予算化が必要になってくる。
漂着物調査。集めたごみを仕分けして個数を数える
漂着物調査。集めたごみを仕分けして個数を数える

                    機械で巡回回収を
 たとえば宿毛湾に大量に漂着している養殖用に使っている発泡スチロール。私たちは高知大生や地元の方と一緒に回収しているが、四万十市にある処分場まで持って行く際に問題になるのが容積だ。重さはさほどでもないが、軽トラックに積むと6個ほどで一杯になる。
 この問題を解決しようと思案していたところ、発泡スチロール減容機という機械があることがわかった。この機械をトラックに積み込み各漁協なりで収集場所を決めておいて、定期的にそこを巡回して容積を減らし回収するのはどうだろう。
 この機械を一漁協や市町村が持つには負担が大きいが、いくつかの市町村が共同出資して巡回させることで、海岸部の発泡スチロールは回収しやすくなるのではないか。また、発泡スチロール等のごみを容積あたりいくらで買い取るといった仕組みができれば、浜にうちあがっている発泡スチロールは資源になり、大変な思いをしてボランティアベースで行ってきた活動は仕事となり、地元住民の手によって自主的に浜がきれいになる。
 漂流ごみ問題を解決しようとお隣の韓国政府は、2004年に漁業者による漂流ごみの買い取り制度を始めた。ごみを一袋あたり日本円にして約400円という値段で引き取るというものだ。この制度、韓国全土に広がっているそうである。
、落ちかえった大量の発泡スチロール。小さく分割しないと処分場で引き取ってもらえない
、落ちかえった大量の発泡スチロール。小さく分割しないと処分場で引き取ってもらえない

                   ごみの正体を知る
 日本におけるクリーンアップキャンペーンの事務局をつとめるJEAN(ジーン)というNPOがある。海浜のごみを回収するだけでなく、もう一歩進んで、ごみの種類ごとに数をかぞえてごみの正体を知り、蓄積したデータをごみ問題啓発のために公開をしているのだ。
 高知県でも世界共通のフォームに則って種崎海岸や柏島、その他色んな場所でごみ調査が行われている。皆さんにも是非参加していただきたい。
JEAN クリーンアップ全国事務局http://www.jean.jp/index.html
浜に打ちあがったサンゴの骨格に貝殻やガラスのかけら、ハリセンボンのトゲなどをくっつけた子どもの作品
浜に打ちあがったサンゴの骨格に貝殻やガラスのかけら、ハリセンボンのトゲなどをくっつけた子どもの作品

                   ビーチコーミング
 漂着するのは何もごみばかりではない。というより、ごみと見るか宝物と見るか、そこはセンスが物をいう。ビーチコーミングとは浜辺に落ちている漂着物を拾い集める遊びのことだ。
 ビーチコーミングの「コーム」とは、髪の毛をとくのに使う櫛、「コーム(comb)」が語源。浜辺を手の櫛でとくようにして漂着物を拾う事から、「ビーチコーミング」と名付けられた。拾った生物を観察したり、貝殻や流木でクラフトをしたり、どうしてここに流れついてきたんだろう?と想像するだけでも楽しい。黒潮実感センターでも子ども達のプログラムとして実施していて、ユニークな作品を作る子ども達もいる。

                 海ごみゼロを目指して
 ごみと言っても元は何かの役に立っていたモノ。それが自分たちに不要になったから捨てられたモノに過ぎない。基本はごみが出にくい社会を作ることだと思う。リサイクルやリユースが叫ばれている今、時代はエコへと進んでいる。きれいな海を子ども達に渡すため、私自身もできることから始めたい。

                  センター長・神田 優
投稿: 諒太 /2009年 11月 04日 09時 23分

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