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2010年8月27日(金) 高知新聞夕刊 海に映る盆踊り
大月発くろしお便り(黒潮実感センター)

             人口が倍増
 8月14日、午前6時。組合(漁協)からのマイク放送が流れた。
 「組合からお知らせします。お盆休みのため、8月14日と15日の2日間、朝七時から九時までの間のみ氷の販売を行います。ご入り用の方はこの時間にお出で下さい。」
 街と違い島ではビールやジュースはクーラーボックスに氷を張ってそこでキンキンに冷やす。漁師町ならではで、どこの家にも大きなクーラーボックスがある。
 焼けると言うより焦げると言った方がいいほど強い島のひざし。そんな島の暮らしには、クーラーボックス用の氷は欠かせない。お盆休みでも販売するのだ。
 そのお盆に、柏島の人口は倍増する。柏島大橋周辺は海水浴客やキャンパー達が大勢訪れ、そこにお盆の帰省客も加わるからだ。
海水浴客で混雑する夏の柏島 (山崎拓郎氏提供)
海水浴客で混雑する夏の柏島 (山崎拓郎氏提供)

 家々からはにぎやかな声が聞こえてくる。「ただいまぁ」。「お帰り、ようもんてきたねぇ」。迎えるお年寄りの顔は皆ほころびっぱなしだ。
 おばあちゃんへのあいさつもそこそこに、子ども達はお父さんお母さんと一緒に、浜へ水遊びや釣りに出かけていく。

             2つの盆踊り
 8月14日と15日、柏島では盆踊りが開催される。柏島は柏島地区と橋の手前側(大月半島側)の渡し場地区の、二つの地区からなっている。8月14日は渡し場地区で、8月15日には柏島地区でそれぞれ盆踊りが行われる。
 元々別々に行われていたが、昭和32年に橋ができてから以降、両地区の交流も盛んになり、現在では双方の住民が合流して行われている。渡し場地区の盆踊りは港内の堤防の内側にある広場で行われ、柏島橋(通称旧橋)から見ると海面に提灯や照らし出されたやぐらが映り、幻想的な風景が醸し出される。
 柏島地区では「お墓さん(もしくは寄せ墓さん)」と呼ばれる「甫護霊神(ほごれいじん)」で慰霊の大祭として、境内の中央に大漁旗を巻いたやぐらが建てられ、その上ではリズムよく太鼓がたたかれ、やぐらの下には子ども達が集まり、太鼓に合わせて声をあげる。幻想的なちょうちんの明かりのもと、皆が踊って先祖の霊の供養をする。
渡し場地区の海辺の盆踊り 船に浮かぶ水面にちょうちんの明かりが映り幻想的だ
渡し場地区の海辺の盆踊り 船に浮かぶ水面にちょうちんの明かりが映り幻想的だ

お墓さんでの盆踊り(柏島地区)
お墓さんでの盆踊り(柏島地区)


             歴史の古い太鼓踊り
 今年6月、熱海で行われた全国民踊指導者連盟主催のふるさとの民謡大会に、柏島の盆の太鼓踊りも選ばれ、島から数名の方が参加した。
 太鼓踊りに詳しい老人会長の大堀輝喜さんによると、盆の太鼓踊りの歴史は古く、平安時代にさかのぼる。有縁無縁の亡き人びとの御霊を供養し、島の平安無事、無病息災を念じながら、月の明かりのもと、ちょうちんやたいまつをともし、夜を徹して踊ったと伝えられている。
 この盆踊りの由来ははっきりしていないようだが、その頃この地方では貧富の差が激しい中、貧しさのために死亡する人や、船舶による遭難者が多く、その埋葬が島のあちらこちらで行われていた。また、悪病の流行や天災、火災、不漁など不吉なことが度々起こった。
 占い師に見てもらうと、「地区を開拓してきた人びとをおろそかにしているためだ」と言われた。そのため亡くなった人びとを一カ所に集め「寄せ墓(通称お墓さん)」として集落総出で丁重に供養するようになったと言われている。
 この盆踊りは、霊に対しての供養として踊り続けられているが、当時の生活を表現するのが特徴で、漁具やくわ、かまなどを持ったり、ござを体に巻いたりするという。最近は扇子や長刀、蛇の目傘を持って踊る人を見かける。
 盆踊り会場からの帰り、お墓さん近くの家々に吊されたちょうちんが暗闇に浮かぶ光景を見ると、今も昔もきっと変わらないんだろうなと思った。
着物姿で太鼓踊りを踊る女性(円満堂修治氏提供)
着物姿で太鼓踊りを踊る女性(円満堂修治氏提供)

お墓さんに祭られている無縁仏の墓(円満堂修治氏提供)
お墓さんに祭られている無縁仏の墓(円満堂修治氏提供)

お盆で帰省してきた子どもたちと、お墓さん近くの家々につるされたちょうちん
お盆で帰省してきた子どもたちと、お墓さん近くの家々につるされたちょうちん


             (センター長 神田 優)
投稿: きのこ /2010年 09月 02日 16時 43分

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